雇用保険の失業給付の手続きと受給条件
退職後に次の仕事がすぐに決まらない場合、生活を支える手段として活用できるのが雇用保険の失業給付(失業手当)です。雇用保険に加入していた人は、一定の条件を満たせばこの給付を受けることができます。失業給付を受けるためには、適切な手続きを行い、受給条件を満たす必要があります。今回は、失業給付の手続きと受給条件について詳しく解説していきます。
1. 失業給付とは?
雇用保険の失業給付とは、失業した人が次の職を見つけるまでの期間、経済的な支援を受けるための制度です。退職後、再就職のための活動を行っている人が、一定の期間中に支給される手当です。これにより、生活費の補填や安心して再就職活動を行うためのサポートを受けることができます。
失業給付は主に以下の2つの目的を持っています。
再就職の促進:次の仕事を探すための時間的・経済的な余裕を提供し、安心して再就職活動を行えるようにする。
失業者の生活の安定:無収入となる退職後に、再就職活動中の生活費を支える。
2. 受給のための基本的な条件
失業給付を受けるためには、以下の条件を満たしている必要があります。
働く意思と能力があること:失業給付は、病気やケガで働けない場合には支給されません。再就職を希望し、働く意思と能力があることが条件です。そのため、ハローワークの認定日には、定期的に求職活動を報告する必要があります。
雇用保険に加入していたこと:失業給付を受けるには、退職前に一定期間、雇用保険に加入していたことが必要です。具体的には、退職前の2年間に通算して12カ月以上、雇用保険に加入している必要があります。これは、週の労働時間が20時間以上であり、かつ雇用期間が31日以上見込まれていた場合に適用されます。
ハローワークで「求職の申し込み」をすること:失業給付は、単に退職しただけで自動的に支給されるわけではありません。ハローワークに行き、「求職の申し込み」を行い、失業の状態であることを認定される必要があります。求職活動を行っていることが給付の前提となります。
3. 失業給付の手続き
失業給付を受けるためには、ハローワークでの手続きが必要です。以下が基本的な手続きの流れです。
1. 離職票の取得
退職後にまず行うべきは、会社から「離職票」を受け取ることです。離職票は、退職者が失業給付を申請するために必要な書類です。通常、退職から1~2週間程度で会社から郵送されます。
2. ハローワークで求職の申し込み
離職票が届いたら、ハローワークに行き、求職の申し込みを行います。この際に、以下の書類が必要です。
- 離職票(1と2の2枚)
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 印鑑
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
求職の申し込みを行うと、ハローワークで初回の説明会が行われ、今後の手続きについて説明があります。
3. 待機期間と給付制限期間
求職の申し込みを行った日から7日間は待機期間と呼ばれ、この間は給付金を受け取ることはできません。また、自己都合で退職した場合、待機期間終了後に3カ月間の給付制限が設けられています。この間は失業給付を受け取ることができないため、早めの再就職活動が重要です。
4. 失業認定日と求職活動
失業給付を受けるためには、定期的にハローワークに出向き、失業状態であることを認定してもらう必要があります。これを失業認定日といい、4週間ごとに訪問します。その際、一定の求職活動実績(通常は2回以上)を報告しなければなりません。この認定を受けた上で、次の給付金が支給されます。
4. 失業給付の金額と受給期間
失業給付の金額は、退職前の賃金に基づいて計算されます。具体的には、退職前6カ月間の賃金の総額を180で割った金額(賃金日額)の50~80%が給付金として支給されます。年齢や賃金によって異なりますが、高年齢者や低賃金の労働者ほど、支給率が高くなります。
また、受給できる期間は、雇用保険に加入していた期間や年齢、退職理由によって異なります。例えば、自己都合で退職した場合は3カ月間の給付制限がありますが、会社都合で解雇された場合は、すぐに給付が開始されます。さらに、勤続年数が長ければ長いほど、受給期間も長くなります。
5. 特定受給資格者と特定理由離職者の優遇
失業給付には、特に会社都合で解雇された場合や、契約満了で雇用が終了した場合などに適用される特定受給資格者や特定理由離職者という区分があります。これらの資格がある場合、自己都合退職と異なり、給付制限がなく、早期に失業給付が開始されるため、経済的に安定した期間を確保できます。
具体的には、以下のような場合が該当します。
やむを得ない家庭の事情で退職した場合
会社の都合による解雇や倒産
パワハラやセクハラを理由に退職した場合
まとめ
雇用保険の失業給付は、再就職活動中の経済的支えとなる重要な制度です。手続きや受給条件を正しく理解し、退職後のスムーズな生活を確保するために、早めに対応しましょう。再就職までの間、失業給付をしっかりと活用して、次のキャリアへのステップアップに備えてください。