就業規則の見直し時にチェックすべきポイント

はじめに

企業の成長や働き方の変化に伴い、就業規則は定期的な見直しが求められます。就業規則は従業員にとっても、企業にとっても安心して働くためのルールブックであり、労働条件や働き方のルールが明確であることが大切です。この記事では、就業規則の見直し時にチェックしておくべき重要なポイントを解説します。


1. 法改正に対応しているか

まず、労働関連法の改正に対応しているかを確認しましょう。特に労働基準法や労働契約法、パワハラ防止法などは、数年おきに改正が行われることがあり、就業規則に影響を及ぼします。例えば、近年では「働き方改革関連法」による労働時間の上限規制や、有給休暇の取得義務化といった改正が行われました。法改正に対応していない場合、企業側の不備として指摘されることがあるため、定期的に最新情報を把握し、就業規則に反映させることが重要です。


2. 労働時間と休憩・休日に関する記載

労働時間や休憩時間、休日のルールは、就業規則の根幹に関わる部分です。時間外労働や深夜労働の取り扱い、休憩時間の設定、休日の取り決めなど、具体的な内容が明確に示されているかを確認しましょう。また、働き方改革により、残業の上限規制が厳格化されていますので、36協定との整合性が取れているかも重要です。

見直しポイント:

  • 所定労働時間が法定労働時間を超えていないか
  • 休憩時間が労働時間に応じて適切に設定されているか
  • 休日や振替休日の規定が明確に記載されているか

3. 有給休暇の取得ルールの整備

従業員の権利として、有給休暇の取得は労働基準法で保証されています。近年の法改正により、従業員に対して年次有給休暇を年5日取得させる義務が企業に課せられました。これを受けて、取得促進のための取り組みや、休暇の取り方に関する規定が整備されているかを確認する必要があります。休暇取得のルールや申請手続きの流れが分かりやすく定められているかをチェックしましょう。

見直しポイント:

  • 年次有給休暇の付与日数と付与条件が明確に定められているか
  • 年5日の取得義務について周知が図られているか
  • 取得しやすい仕組みやルールがあるか

4. ハラスメント防止に関する規定

企業内のパワハラ、セクハラ、マタハラなどのハラスメント防止対策は、現在、労働環境の健全化において重要視されています。ハラスメント防止のための規定が就業規則に盛り込まれているか、また対応窓口や相談体制が明示されているかを確認する必要があります。特にパワハラ防止法の施行に伴い、対応措置が義務化されているため、これらの項目を含む就業規則の整備が必要です。

見直しポイント:

  • 各種ハラスメントに関する具体的な禁止事項が明記されているか
  • 被害者への支援体制や相談窓口が整備されているか
  • 相談内容の秘密保持や適切な対応方法が示されているか

5. テレワークやフレックスタイム制の導入

近年、テレワークやフレックスタイム制といった柔軟な働き方が広まりつつあります。こうした働き方を就業規則に反映することで、従業員が安心して利用できる環境を整えることが重要です。テレワークにおける労働時間管理や費用負担、フレックスタイム制の適用範囲とルールなどを明確に定めましょう。

見直しポイント:

  • テレワーク実施時の勤務ルールや費用負担の取り決めが明確であるか
  • フレックスタイム制の運用ルールが整備されているか
  • 通勤の有無による手当や福利厚生の扱いが定められているか

6. 契約・退職に関する事項

従業員の雇用契約や退職に関する事項は、トラブルを避けるためにも明確に定めておく必要があります。たとえば、退職時の手続きや解雇に関する取り決め、雇用形態の変更時の条件など、就業規則に規定しておくとスムーズです。また、退職金制度や競業避止義務に関する規定も、就業規則内での整備が推奨されます。

見直しポイント:

  • 退職・解雇に関する手続きや条件が明記されているか
  • 契約更新や雇用形態の変更に関する取り決めがあるか
  • 退職金や競業避止義務に関する取り決めが適切であるか

7. 定期的な見直しの仕組み

就業規則は一度作成すれば終わりではなく、企業の成長や環境変化に合わせて定期的に見直すことが大切です。定期的な見直しのタイミングや責任者を明確にしておくと、必要に応じた改訂がスムーズに行えます。特に、毎年の法改正や働き方の変化に対応するために、見直しの頻度を設定することをおすすめします。

見直しポイント:

  • 見直しの頻度と担当者を明確にしているか
  • 法改正や社会情勢に応じた改訂の体制が整っているか
  • 従業員からのフィードバックを反映する仕組みがあるか

まとめ

就業規則の見直しは、従業員にとって働きやすい職場を提供し、企業にとって法的リスクを回避するために欠かせません。法改正への対応や働き方の多様化に合わせて、就業規則を適切に更新していくことで、安心して働ける環境を整えましょう。